アブダビF1VIPルームを舞台に、日本発ゲーム企業クラブの資金調達と中東IR戦略が語られる。UAE超富裕層マネーの特徴や、日本個人投資家との視点の違いを通じて、新たな投資ストーリーの可能性を探る。
この記事では、あるYouTube動画で語られていた内容をもとに、考え方やポイントを整理しています。
アブダビF1VIPルームと特別なIR環境
アブダビF1会場という非日常の舞台が、日本発ゲーム企業クラブのIRに新しい文脈を与えています。F1と金融・投資を結びつけた、このエッジの効いた場づくりが中東マネーとの接点になっています。
会場はサーキットと同じ高さの、文字通り「かぶり付き」エリアに位置し、同じくサーキット内にあるWホテルに滞在しながら、部屋からもエンジン音が響く環境が用意されています。ここに、クラブのイベントとしてVIPルームが設けられ、大神プロジェクトの望月氏らも交えて場を共有しています。
このVIPルームは、ドバイ最大手のセンチュリーファイナンシャルが自社スペースを提供し、同社の上位顧客向けに開かれたものです。招待客はUAE王族を含む世界各国の超富裕層で、多くがファミリーオフィスとして10万〜1000万ドル単位を動かす投資家層と説明されます。日本の個人投資家が100万円単位で売買する姿と比較すると、対象とする資金の桁が根本的に異なるIR環境となっている点が重要です。
それにもかかわらず、日本企業がアブダビやドバイをIRの場として活用する例はまだ極めて少ないと指摘されており、このギャップこそが今回の取り組みの背景にあります。
クラブ株での過去の勝負と今回の投資スタンス
クラブ株は一過性のテーマではなく、過去の大勝負から現在まで継続して注目されてきた「勝負銘柄」と位置付けられています。その長い付き合いが、今回の資金調達局面の見方にも影響しています。
ウルフ村田氏は、2019年の『ラブライブ!』関連相場でクラブ(3656)に大きく賭け、6億円規模の買いを入れたことを明かしています。この売買では大きな利益を得ており、それ以降もクラブを特別な銘柄として意識してきた経緯があります。
2023年にはクラブ株が上場来安値を更新する水準まで売られましたが、そのチャート形状に着目し、安値圏からの局面を推奨。自身も視聴者も利益を得たと説明しています。上場来安値からの反発局面では株価が伸びやすいという経験則があり、上場来安値からの上値取りチャートは積極的に狙う価値が高いというのが一貫したスタンスです。
UAE王族からの出資と中東IRオファーの舞台裏
クラブは2023年12月5日、51億円の資金調達を発表しました。主な出資元はUAE王族をはじめとするUAE投資家で、彼らが設立した投資会社を通じた出資の枠組みとなっています。
UAE側は、アブダビやドバイに世界中のマネーが集まり、各国企業が積極的にIRを行っている現状を説明する一方、日本企業の姿はほとんど見えず、日本のプレゼンスが弱いと指摘しています。中東の投資家は日本のIPや漫画、ゲームに強い関心を持つ親日層であり、本来は日本企業の株主になりたい意向も強いとされています。
にもかかわらず、日本企業の多くはニューヨークやロンドンばかりでIRを行い、中東は手つかずの状態に近い。このような状況を踏まえ、UAE側は「アブダビに来てIRをしてほしい」とクラブに正式オファーを出し、クラブ側もアブダビ・ドバイを日本企業IRのブルーオーシャンと認識。誰もやっていない中東を積極的なIR拠点にする方針でF1VIPイベントを企画したと説明しています。日本コンテンツへの評価の高さとIR競合の少なさが、中東を魅力的な新市場にしているという構図です。
PL目線とBS目線がぶつかる資金調達とトレジャリー戦略
今回の51億円調達では、新株およびワラントの発行により希薄化が生じます。このダイリューションは、事業拡大のためにあえて選択した資本政策と位置付けられています。
日本の個人投資家には「新株発行=EPS低下で株価下落」というPLだけを見る傾向が根強く、この見方は短期的で、資本政策の理解としては不十分だと指摘されます。一方、ドバイ・アブダビの王族は長期的なバランスシートで企業を評価し、増資で現金などの資産が積み上がりBPSが増える点を重視して投資判断しています。
クラブは、保有資産の戦略として、単一のコイントレジャリーではなく、ビットコインと金を組み合わせて保有する「デュアルゴールドトレジャリー」方針を掲げています。この戦略で資産を積み上げ、BSを劇的に改善する狙いがあると説明されます。今後は、短期PL目線で新株発行を嫌気する日本個人投資家の売りと、長期BS目線で今回の増資をポジティブに見るアラブ王族の買いが対峙する局面になると表現され、その構図自体が投資ストーリーとして非常に興味深いと語られています。
日本ゲーム株投資家としての売買スタイルと期待シナリオ
日本のゲーム株に対して、ウルフ村田氏は一貫して「失望売りが出た局面を買う」逆張りスタイルを取ってきたと説明します。クラブ株についても、そのスタイルが当てはまると見ています。
今回の増資によるダイリューション懸念で市場から売りが出る動きも、むしろ好機と捉えています。増資ニュースを材料とした短期的な失望売りを逆に利用し、押し目での追加購入を検討していると語っています。
同時に、クラブが2026年リリースを予定するゲームなど、今後のコンテンツ展開への期待も背景にあります。特に上場来安値からの上値取り局面では値動きが大きくなりやすいという経験則を踏まえ、「失望売りの押し目」を狙う日本ゲーム株投資は有効だとの見解を示し、クラブの増資局面も自らの投資スタイルから見て妙味のあるタイミングと位置付けています。
社長・沢田氏の強気目標と攻めのIR姿勢
クラブのVIPルームを主催するのは、クラブ社長の沢田氏(発音上はサナダと聞こえる場合もある)です。かつてクラブを離れていたものの、再び経営の現場に戻り、「戻った以上、もう一度事業を発展させる」と強い決意を示しています。
沢田氏は、個人的な目標として時価総額1000億円を狙うと明言します。これは公式なコミットではなく、あくまで自身の目標だと前置きしたうえでの発言です。2023年には時価総額が70億円程度まで上昇した実績があり、そこから10倍以上の水準を意識していることになります。
ウルフ村田氏は「10倍を言わない社長は好きではない」と語り、この強気姿勢に賛同しています。日本国内のIRでは、こうした発言は担当者に止められるケースが多いものの、今回は日本を離れた場で本音ベースのメッセージを発信している点が特徴です。この場が、クラブの攻めのIRスタンスを鮮明に印象付ける機会になっており、再登板した以上はクラブを大きく成長させるべきだという沢田氏の覚悟が明確に示されています。
大神プロジェクトとの協業と今後のプロジェクト展望
今回はクラブだけでなく、同行している大神プロジェクトとの協業も重要な要素になっています。大神プロジェクトは、沢田氏が関わる別会社ブロックスミスと連携しており、クラブとの間にも関連性がある構図です。
両者はすでに「オオカミカード」というコラボカードを展開しており、このカードは仮想通貨で支払える仕組みを備えています。デジタル資産と既存IPを結びつける取り組みとして位置付けられています。
アブダビF1の場をきっかけに、クラブ、ブロックスミス、大神プロジェクトの3者で今後もさまざまなプロジェクトを進めていく意向が語られています。沢田氏・大神プロジェクト・ウルフ村田氏という3者連携による展開を予告し、今回のアブダビF1を長期的な共同プロジェクトの起点と捉えている点が強調されています。
視聴者への参加動線と極秘情報提供の案内
読者・ファンに対しては、オンライン登録を通じた参加動線も用意されています。案内では、専用のLINEアカウントに登録した人を対象に、クラブがスポンサーを務めるアブダビF1への招待の可能性があると説明されています。
ただし、全員招待ではなく、あくまで「可能性がある」という位置付けである点が補足されています。さらに、公開の場では話せない極秘情報をLINEで配信することも予告されており、中東IRや進行中のプロジェクトの続報に触れられる機会として位置付けられています。
一方で、公開情報の範囲だけでは伝えきれない内容が多く、読者が全容を把握しづらい側面もあります。そのギャップを埋める手段として、LINE登録を通じたクローズドな情報提供が組み込まれている点が特徴です。
注意: この記事は動画内の発言者の主張を紹介するものです。記事としての評価や判断は行っていません。


