突然の湖の消失事故
ペヨール湖は、アメリカ・ルイジアナ州にある湖です。1980年11月8日、この湖が突然、まるで地面に吸い込まれるように消失する事故が起きました。
湖の近くにあるジェファーソンアイランドには、地下17kmにも及ぶ巨大な岩塩ドームがあり、長年にわたり岩塩の採掘が行われていました。事故当日、湖の底にあった採掘現場で何らかの異常が発生し、湖の水が地下に流れ込み始めたのです。その結果、湖が3時間で完全に消失してしまったのです。
地下に取り残された50人の作業員
地下の採掘現場には約50人の作業員がいましたが、事前に策定されていた避難計画に基づき、冷静に避難することができ、全員が無事に地上に脱出しました。
事前の避難訓練と英雄的な行動
この事故の成功裏の避難は、日頃からの避難訓練と、リーダーたちの英雄的行動によるものでした。作業員たちは、日ごろから定期的に避難訓練を行っていたため、冷静に状況を判断し、適切な行動をとることができたのです。また、リーダーたちが先頭に立って避難を指揮し、最後まで作業員の安全を確保したことも大きな要因でした。
事故の背景にある問題
この事故の背景には、坑井の位置が鉱山の内部にあったことが原因とされています。座標系の違いや三角測量の誤りなど、複数の要因が重なったことで、掘削作業の位置が正確に把握できていなかったのです。
事故後、企業は座標確認や測量ミスの防止策を導入しましたが、法的な義務化には至らず、32年後に同様の事故が再発しました。2013年、ルイジアナ州議会は新たな法律を可決し、空洞の位置関係や監視体制の強化、事業者の責任を明確化しました。
技術進歩と人間の課題
この事故は、1970年代のルイジアナ州における深刻な鉱山事故の一例です。技術は進歩したものの、人間の慢心や想定外の事態への対応力の欠如が根本的な問題として指摘されています。事故の教訓を活かし、より安全な鉱山管理体制の構築が求められています。
