FANG+投資は売りか継続か?新NISAで押さえるべき落とし穴と判断軸

この記事は約9分で読めます。

米国ハイテク10社に集中投資するFANG+を巡り、乗り換えの動きと不安が広がっています。特徴や魅力だけでなく、見落としがちなリスクや代替ファンドとの違いを整理し、自分なりの判断軸を持つための視点をまとめます。

この記事では、あるYouTube動画で語られていた内容をもとに、考え方やポイントを整理しています。

channel icon
登録者数 13.8万人
43,552 回視聴 2025年12月11日
※2025年12月14日時点

FANG+を取り巻く状況と投資家の不安

FANG+はここ数年で個人投資家に広く浸透しましたが、直近ではランキング低下や乗り換え報告が目立ち、不安が意識される局面に入っています。高リターンの裏側で、判断軸を持たないまま行動してしまうリスクが強調されています。

新NISA開始以降、FANG+は積立設定金額ランキングの上位常連となり、多くの個人が活用してきました。一方で、最新のSBI証券データでは順位が2位から5位前後まで下がり、SNS上でも一歩テック20やメガテンなどへの乗り換え報告が増えています。こうした情報を見て「自分も変えた方がいいのか」と不安になる投資家が増えている構図です。

ただし、足元の成績は直近1年で約+37%、直近5年で+323%と極めて好調で、5年前に100万円投資していれば約420万円という水準に達しています。この実績を踏まえると、周囲の動きだけを根拠に乗り換えることは危険であり、20〜30年の長期投資を前提にFANG+のデメリットをどう受け止めるかが重要だと結論づけられています。直ちに他ファンドへ乗り換える必要はないという立場が示されています。

FANG+の基本構造と運用ルールを整理する

このセクションでは、指数の仕組みや構成銘柄、コスト水準などFANG+の土台となるルールを整理し、後のメリット・デメリット議論につながる前提を確認します。

FANG+はNYSE FANG+指数に連動し、米国ハイテク企業10社に各10%ずつ均等投資する設計です。「FANG」はFacebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字に由来し、現在の固定6銘柄はメタ、アップル、アマゾン、ネットフリックス、マイクロソフト、アルファベットとなっています。この固定6銘柄は原則として入れ替わらず、超大型テックを継続的に保有する仕組みです。

残り4銘柄は四半期ごとに見直され、時価総額や売買高、株価売上高倍率、売上高成長率をもとに選定されます。2024年9月の見直しではNVIDIA、Broadcom、ServiceNow、CrowdStrikeが採用され、テスラとスノーフレークが除外されています。信託報酬は年率0.7755%とされ、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の双方で購入可能です。特につみたて投資枠で買える点が、後述の他ハイテクファンドとの大きな違いであり、同時に固定6銘柄ルールや入れ替え頻度はデメリット議論の重要な前提になります。

新NISAで際立つFANG+の3つの魅力

FANG+には、つみたて投資枠で買えること、少額で世界的ハイテク10社に均等投資できること、暴落を含む5年以上の運用実績があることの3点が主要な魅力として整理されています。

つみたて投資枠で買えるハイテク集中ファンドという強み

最初の魅力は、新NISAのつみたて投資枠で購入できる数少ないハイテク集中ファンドである点です。一歩テック20やZテック20、メガテンなど話題のハイテクファンドは、いずれも成長投資枠でしか購入できません。つみたて投資枠は金融庁の厳しい基準を満たした商品のみ対象となるため、ハイテク集中型は原則として入りにくい構造です。

その中でFANG+がつみたて投資枠に採用されていることは希少であり、年間120万円の枠をハイテク集中投資に充てられるメリットがあります。クレジットカード積立を利用する人にとっては、ポイント付与を受けながらFANG+を積み立てられる点も具体的な利点として挙げられます。

少額で世界的ハイテク10社へ均等投資できる利便性

2つ目の魅力は、世界を代表する大型ハイテク銘柄に100円から手軽に投資できる利便性です。GAFAMやNVIDIAなどを個別株で買おうとすると、1株あたり数万〜数十万円必要になり、初心者には高いハードルになります。FANG+はこうした銘柄を10社、各10%の均等比率で保有し、時価総額加重であるS&P500とは構成思想が大きく異なります。

2015年時点で既にNVIDIA、Netflix、Teslaなどが約10%ずつ組み入れられており、中型〜大型ハイテクの急成長の恩恵を大きく受けてきました。構成銘柄はクラウドや検索、オフィスソフトなど景気に左右されにくい分野が中心で、クラウド市場ではアマゾン・マイクロソフト・グーグルの3社でシェア6割超、検索はグーグルがほぼ独占という構図があります。四半期ごとのリバランスにより、上がりすぎた銘柄を売り、下がった銘柄を買う逆張り効果も期待できる設計です。

暴落を含む5年以上の長期実績

3つ目の魅力は、暴落局面を含めた5年以上の長期実績です。FANG+は2020年以降のハイテクバブルやAIブーム、2022年の大幅下落といった荒い相場を通過しながら運用が続けられてきました。その結果として直近5年+323%という圧倒的な成績を残しており、長期投資を考えるうえで重要な判断材料になっています。

総括すると、つみたて投資枠で買える唯一のハイテク集中投信であること、少額からGAFAM等10銘柄に均等投資できること、そして暴落を含めた長期実績という3点が、FANG+の核心的な魅力として整理されています。

押さえておきたいFANG+の3つのデメリット

FANG+には魅力だけでなく、高コスト、10社集中による高ボラティリティ、銘柄入れ替えルールの硬直性という3つのデメリットも存在します。長期で保有するほど、これらの影響を理解しておく必要があります。

他ハイテクファンドと比べた高コスト

1つ目のデメリットは信託報酬の高さです。FANG+の信託報酬0.7755%に対し、S&P500は約0.08%、オルカンは約0.05%と、インデックスファンドと比べてかなり高い水準です。一歩テック20とZテック20は0.495%、メガテンは0.385%とされ、FANG+との差は約0.28〜0.39ポイントあります。

毎月3万円を年利5%で20年積み立てるシミュレーションでは、FANG+が約1,098万円、メガテンが約1,164万円と提示され、同条件での差は約66万円になります。同程度のリターンであれば、コストの低いファンドが有利になる構造であり、高い信託報酬は長期運用での資産形成に不利に働く可能性があると整理されています。

10社集中投資による高いボラティリティ

2つ目のデメリットは、10社への集中投資による高リスクです。S&P500が約500社、オルカンが約3,000社に分散しているのに対し、FANG+は10銘柄のみで構成されるため、分散度合いが極端に低くなります。その結果、相場が悪化したときの下落幅が大きくなりやすく、2022年の下落局面でもその特徴が表れました。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』で示される分散効果のグラフでは、40〜50銘柄でリスクが約40%に収束する一方、10銘柄程度ではリスクは約70%と高水準にとどまります。FANG+は明確なハイリスク商品であり、暴落局面で大きく下がることを受け入れられない投資家には向きません。含み損でパニックになり売却してしまう可能性がある人は、自身のリスク許容度を慎重に見極める必要があります。

銘柄入れ替えルールの硬直性と機会損失

3つ目のデメリットは、銘柄入れ替えルールの硬直性です。既存構成銘柄が総合順位10位以内にいる限り、原則入れ替わらない仕組みが採用されています。総合順位は時価総額、売買高、株価売上高倍率、売上高成長率で算出されますが、現在の構成銘柄はいずれも上位に位置しており、入れ替えが起こりにくい構造です。

さらに固定6銘柄は原則不動であり、新しい成長企業を組み入れにくい要因になっています。具体例としてAI・ビッグデータ分野で急成長し株価+121%とされるパランティアが挙げられ、次世代ハイテクの筆頭とされながら、現行ルールでは枠がなくFANG+に入れません。一方で、一歩テック20は固定銘柄を設けず2025年6月にパランティアを新規採用し、メガテンやZテック20も固定銘柄なしで年4回見直しを行う柔軟な設計です。固定6銘柄は世界を代表する超大型かつ成熟企業であり、成長鈍化の指摘もあるため、FANG+は新たな急成長株を取り込みにくく、将来の成長機会を逃す構造的欠陥があると批判されています。

乗り換え候補ファンドとの比較と使い分け方針

FANG+からの乗り換え候補として、一歩テック20、Zテック20、メガテンが取り上げられています。各ファンドの特徴を比較し、どのような方針で使い分けるかが整理されています。

一歩テック20はNASDAQ上場のテクノロジー関連から時価総額上位20銘柄に投資し、信託報酬は0.495%です。Zテック20は日本を除く世界のテック20銘柄に投資し、信託報酬も同じ0.495%とされています。メガテンは米国グロース株の時価総額上位10銘柄に均等配分で投資し、信託報酬0.385%と最も低コストです。これら3ファンドはいずれも成長投資枠でのみ購入可能で、つみたて投資枠では買えない点が注意点となります。

一歩テック20やメガテン、Zテック20はいずれも固定銘柄を設けず、定期的な見直しで柔軟に構成変更する設計である一方、運用歴が浅く、FANG+のような長期実績はまだありません。総合的には、FANG+は5年+323%という実績と超大型ハイテク10社構成の安心感から、今すぐ乗り換える必要はないと判断されています。一方で他候補ファンドはコスト面や銘柄入れ替えの柔軟性で優れており、つみたて投資枠を最大限活用したい場合は現状FANG+が有力選択肢、成長投資枠で低コストを重視するなら一歩テック20やメガテンなどが候補になると整理されています。長期実績を重視するならFANG+、柔軟な入れ替えを重視するなら他ファンドという使い分け方針が提示されています。

ラプトル博士の投資スタンスと個別株との比較

ここではラプトル博士自身の投資スタンスが示され、FANG+ではなく個別株を選んでいる理由と、その考え方の前提が説明されています。

ラプトル博士個人はFANG+に投資しておらず、10銘柄程度に投資するなら投資信託よりも個別株で直接保有した方が有利だと考えていると述べています。個別株なら信託報酬が不要なため、長期的なコスト面でのメリットがあります。また、銘柄ごとに購入タイミングを選べる柔軟性や、保有銘柄を自分で自由に選定できる点も、個別株を選好する理由とされています。

一方で個別株投資には勉強や企業分析、日々の管理の手間がかかり、万人向けではありません。このため、FANG+の運用方針に納得し、構成銘柄を個別に買うのは面倒だと感じる人にとっては、FANG+投信も十分「アリな選択肢」であると説明されています。

自分の投資目的とリスク許容度に基づく最終判断

最後に、FANG+を巡る判断は他人の行動ではなく、自分の目的とリスク許容度に基づいて行うべきだという視点が整理されています。

FANG+には高コストや銘柄入れ替えルールの硬直性など、長期運用で無視できない懸念があります。パランティアのような急成長株を取り込めないことは、将来的な機会損失につながる可能性も指摘されています。その一方で、これまでの高いリターンと新NISAつみたて投資枠で購入できる希少性も事実として存在します。

重要なのは、自分の投資目的、リスク許容度、新NISAの枠の使い方を踏まえた冷静な判断です。全体ポートフォリオの中でFANG+の位置付けを考え、過度な集中を避ける視点が求められます。周囲の乗り換えムードやSNSの声に流されず、自分軸で判断することが長期投資での後悔を減らす鍵だと述べられています。現時点ではFANG+をすぐに手放す必要はないものの、20〜30年の視野ではデメリットを十分認識しておくべきだと締めくくられています。

まとめ

FANG+を巡っては、高い実績と集中投資の魅力がある一方で、高コストや銘柄入れ替えルールの硬直性が課題だという見解があります。乗り換え候補ファンドとの比較も踏まえ、自分の目的とリスク許容度を軸に判断することが重要だと述べられています。

注意: この記事は動画内の発言者の主張を紹介するものです。記事としての評価や判断は行っていません。

タイトルとURLをコピーしました